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年収の壁に対する政府の対策




パート・アルバイトで働く人が意識するのは、「年収の壁」です。

会社員・公務員の配偶者で扶養され保険料負担のない国民年金の「第3号被保険者」の内、約4割が就労を行っています。就労を行う配偶者の中には、一定以上の収入となった場合の社会保険料の負担などによる収入の減収を理由として就労時間などを調整している人が存在します。

社会保険では、以下の2つの壁が代表的です。

① 年収106万円以上で、健康保険・厚生年金保険に加入することから、社会保険料の負担を避けて就業調整をするいわゆる「106万円の壁」

② 年収130 万円以上で、国民年金・国民健康保険に加入することから、社会保険料の負担を避けて就業調整をするいわゆる「130万円の壁」


■「106万の壁」

2016年10月より社会保険に加入する条件が拡大されました。

501人以上の従業員の適用事業所に勤める以下に当てはまる従業員が健康保険・厚生年金保

険に加入をしなければなりません。


・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満

所定内賃金が月額8.8万円以上

・2月を超える雇用の見込みがある


所定内賃金が月額8.8万円以上の要件にある8.8万円×12月分が106万円となります。

※ 所定内賃金には、基本給や各種諸手当が含まれ「残業代」や「賞与」などは含まれません。


2022年10月より101人以上と適用事業所が拡大され、さらに、2024年10月からは51人以上の従業員数の適用事業所が対象となる予定です。




「厚生労働省/社会保険適用拡大特設サイト より」


■「130万円の壁」

健康保険の被扶養者認定の収入要件は、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満かつ同居の場合は、被保険者の収入の半分未満、別居の場合は、被保険者の仕送り額未満)です。

給与の場合は、月額108,333円以下です。月額108,333円×12月分が130万円となります。




■「106万円の壁への対応」

所定内給与が8.8万円を超えると自身の勤務先の健康保険・厚生年金保険に加入しなければいけません。保険に加入をすると報酬に応じた保険料の負担が発生します。

今後事業主は、健康保険・厚生年金保険の加入要件を新たに満たした短時間で働く従業員の保険料負担を軽減することを目的とした、「社会保険適用促進手当」を支給することが出来るとしており、「社会保険適用促進手当」は、給与・賞与とは別に支給、該当従業員の保険料相当額を上限とし、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定の際には除外することが出来るとしています。



「厚生労働省/「年収の壁・支援強化パッケージ」について より」


事業主の負担軽減の為、新たに、被用者保険を適用するとともに、「社会保険適用促進手当」を支給するなどして従業員の収入を増加させる取り組みを行う事業主を対象とした、助成金が新設されることとなりました。





■「130万円の壁への対応」

年収が130万円を超えると健康保険の被扶養者認定の要件を満たすことが出来ず、被扶養者自身が保険に加入する必要があり、保険料の負担が発生します。

健康保険の被扶養者認定では、従来、過去の課税証明書などにて収入の確認を行っていました。今後の認定の際には、人員不足などの要因による一時的な労働時間延長などによる収入の変動が生じ、130万円を超えてしまう場合でも、「一時的な事情」である旨を事業主が証明することにより、同一の者について原則として連続2回までという条件はありますが、円滑な被扶養者認定を可能とするとしています。




「厚生労働省/「年収の壁・支援強化パッケージ」について より」


「配偶者手当への対応」

配偶者手当を支給している企業では、配偶者手当の支給要件として配偶者の収入に制限を設けている企業があります。

収入要件のある配偶者手当が、就業調整の要因の一因となっており、就業調整を行う従業員の「就業調整の理由」では「配偶者の会社の配偶者手当の支給がなくなる」という理由にて調整を行うと答えた従業員が15.4%となっています。




企業の配偶者手当の見直しについては、現在支給されている従業員にとっては支給要件を満たさなくなると労働条件の不利益変更となりうる為、労働契約法や判例などに留意した対応が必要となってきます。

厚生労働省では、今後「見直し手順をフローチャート」などの分かりやすい資料を作成・公表することとしています。



2024年10月からは、社会保険の適用範囲がさらに拡大されます。

対象となる従業員と今後の働き方などを話し合い、労使双方に負担のない働き方でライフ・ワークバランスを考えていく必要があります。



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